英語使用地域では日本とは異なるあだ名・ニックネーム文化が根付いています。
WilliamがBillになりRobertがBobになる理由をご存知でしょうか。
ちょっと長いかもですが、適当に読んで頂いても意外とすっきりすることがあるかと思うので、是非流し見だけでもどうぞ。
あだ名が生まれる6つの法則
最もシンプルな短縮パターン
名前の一部を切り取る最も基本的な方法です。
現代でも新しい名前に対してこの法則が適用されることが多いです。
- Alexander → Alex
- Samantha → Sam
- Elizabeth → Liz
- Christopher → Chris
- Benjamin → Ben
- Nicholas → Nick
愛称語尾で親しみやすさをプラス
元の名前にie やy を付けることで、より親しみやすい響きになります。
これは子供や親しい間柄でよく使われる形ですね。
- Anne → Annie
- Rob → Robby
- Bill → Billy
- Kate → Katie
- James → Jimmy
- Susan → Susie
もちろん公式に使われることも普通にあります。
今年2025年に亡くなってしまわれたジミー・カーター大統領などの例もあります。
韻を踏む音の変化
中世以降に見られる特徴的な変化で、同じ音で始まる別の文字に変わります。この現象は主に中世英語の時代に始まったとされています。
- Robert → Rob → Bob
- William → Will → Bill
- Richard → Rick → Dick
この変化は音韻学的に説明できます。
WとBは離れているようで、共に両唇音(両唇を使って発音する音)なんです。RとDも共に舌先音(舌先を使って発音する音)です。
音の類似性により変化が起こりやすかったというわけです。
発音しやすさから生まれる音韻変化
話しやすい形に変化する過程で、母音や子音が自然に置き換わります。これらの変化は地域によって異なる形で発達することもありました。
- Sarah → Sally(r音がl音に変化)
- Mary → Molly(r音がl音に変化)
- Elizabeth → Betty(th音がt音に変化)
- Catherine → Kate/Kitty(th音がt音に変化)
頭文字の大胆な交換
元の名前の頭文字を全く違う文字に変える方法です。一見不思議に思えますが、これにも歴史的な背景があります。
- Edward → Ted(EをTに変更)
- Margaret → Peggy(MをPに変更)
古い接尾辞の名残り
ノルマン語系のkin 接尾辞の影響を受けた変化も見られます。これは現代では珍しいパターンですが、定着した形が今でも使われています。
- John → Jankin → Jack
- Henry → Henkin → Hank
男性名のあだ名パターン

王道の変化を持つ名前
William → Will, Bill, Billy
Williamを短縮したWillが韻を踏んでBillに変化し、さらに愛称語尾yを付けてBillyとなります。
例
- ビル・ゲイツ(William Henry Gates III)
- ビル・クリントン(William Jefferson Clinton)
- ウィル・スミス(Willard Carroll Smith Jr.)
- ビリー・ジョエル(William Martin Joel)
Robert → Rob, Bob, Bobby
Robertをrobに短縮し、韻でBobに変化、さらにyを付けてBobbyとなります。
例
- ボブ・ディラン(Robert Allen Zimmerman)
- ロブ・ロウ(Robert Hepler Lowe)
- ボビー・フィッシャー(Robert James Fischer)
複数の変化パターンがある名前
Richard → Rich, Rick, Dick
Richardを短縮し、韻を踏んでDickに変化します。ただしDickは現代では使用頻度が減っています。
例
- リチャード・ニクソン(若い頃はディック・ニクソンとして知られていました)
- リック・ハリソン(Richard Kevin Harrison)
- リッチー・ヴァレンス(Richard Steven Valenzuela)
Edward → Ed, Ned, Ted
Edは短縮形、Mine Ed が訛ってNed、頭文字を替えてTedになります。
例
- テッド・ケネディ(Edward Moore Kennedy)
- エド・シーラン(Edward Christopher Sheeran)
歴史的背景を持つ変化
John → Jack, Johnny
ノルマン語系のJenkin→Jakin を経てJackに変化しました。Johnnyは愛称語尾を付けた形です。
例
- ジャック・ケネディ(John F. Kennedy)
- ジョニー・キャッシュ(John R. Cash)
- ジョニー・デップ(John Christopher Depp II)
Henry → Hank, Harry
オランダ語形Hendrik を経由してHankになったとされています。Harryは伝統的な愛称として使われてきました。
例
- ハンク・アーロン(Henry Louis Aaron)
- プリンス・ハリー(Henry Charles Albert David)
- ハンク・ウィリアムズ(Hiram King Williams)
シンプルな短縮形
Charles → Charlie, Chuck
Charlieは短縮形で、中世英語でChukkenと発音されたことからChuckになりました。
例:
- チャック・ベリー(Charles Edward Anderson Berry)
- チャーリー・チャップリン(Charles Spencer Chaplin)
- チャック・ノリス(Carlos Ray Norris)
その他の一般的な短縮形。
- Alexander → Alex, Alec, Xander
- Michael → Mike
- Joseph → Joe, Joey
- James → Jim(1820年代から普及)
- Thomas → Tom, Tommy
- Patrick → Pat, Paddy(Paddyはアイルランド系の愛称)
- Daniel → Dan, Danny
- Matthew → Matt
- Anthony → Tony
女性名のあだ名パターン
最も多様な変化を持つ名前
Elizabeth → Liz, Lizzy, Beth, Betty, Liza, Lilibet
Elizabethは英語圏で最も多くのあだ名を持つ名前の一つです。
例
- リズ・テイラー(Elizabeth Rosemond Taylor)
- エリザベス女王(家族からはLilibetと呼ばれていました)
- ベティ・ホワイト(Betty Marion White)
- ベス・ハート(Elizabeth Grant)
Margaret → Meg, Maggie, Peg, Peggy, Daisy
Meg→Maggie、Meg→Meggy→Peggyという変化をします。Daisyはフランス語marguerite(デイジーの花)から派生した珍しい例です。
例
- マギー・サッチャー(Margaret Hilda Thatcher)
- メグ・ライアン(Margaret Mary Emily Anne Hyra)
音韻変化の典型例
Sarah → Sally
r音がl音に変化した典型的な例です。ただ現代ではSallyの使用頻度は下がっています。
例
- サリー・フィールド(Sally Margaret Field)
- サラ・ジェシカ・パーカー(Sarah Jessica Parker)
Mary → Molly, Polly
中世の愛称Mollyと、あまり聞かないかもしれませんがMollyのMをPに変えたPollyがあります。
例:
- モリー・リングウォルド(Molly Kathleen Ringwald)
- ポリー・ハーベイ(Polly Jean Harvey)
現代でも人気の形
Katherine/Catherine → Kate, Kathy, Kat, Kitty
様々な短縮形と愛称形が存在します。
例
- ケイト・ミドルトン(Catherine Elizabeth Middleton)
- キャシー・ベイツ(Kathleen Doyle Bates)
- キティ・スペンサー(Kitty Eleanor Spencer)
その他の一般的な女性名のあだ名。
- Dorothy → Dot, Dottie, Dolly
- Patricia → Pat, Patty, Trish
- Josephine → Jo, Joey, Josie
- Christine → Chris, Chrissy
- Jennifer → Jen, Jenny
- Susan → Sue, Susie
- Barbara → Barb, Barbie
- Victoria → Tori, Vicky
- Rebecca → Becky, Becca
- Anne → Annie
- Amanda → Mandy
- Stephanie → Steph, Steffi
- Michelle → Shelly, Micky
- Kimberly → Kim
地域・文化による違い
アメリカとイギリスの違い
アメリカでは短い愛称がより好まれる傾向があります。
一方、イギリスでは伝統的な形が残りやす異一般的傾向があります。
スコットランドの特色
スコットランドではSandyがAlexanderの愛称として使われることが多いです。
これは他の英語圏の国ではあまり見られないです。
アイルランド系の影響
Paddy(Patrick)のように、アイルランド系の愛称が英語圏全体に広がった例もあります。
現代の変化と新しい傾向
使用頻度が減った愛称
時代とともに一部のあだ名は使用が減っています。
Dick(Richard)は現代ではあまり良くない他のスラングの意味との関連で使用が減少しています。先述の通りSally(Sarah)も使用頻度が低下しています。
独立した正式名になった例
一部のあだ名は独立した正式名として使用されるようになりました。
Jackは現在では正式名として人気があり、Jimもかつてはjamesの愛称でしたが、今では独立した名前として使われています。
男女共用の愛称
現代では性別を問わず使える愛称も増えています。
- Alex(Alexander/Alexandra)
- Chris(Christopher/Christine)
- Pat(Patrick/Patricia)
- Sam(Samuel/Samantha)
- Jordan(Jordan は男女共用名)
- Taylor(Taylor も男女共用名)
あだ名文化の歴史的背景
中世からの伝統
英語圏のあだ名・ニックネーム文化は中世にまで遡ります。
当時の人々は限られた名前を使っていたため、同じ名前の人を区別する必要がありました。
ノルマン征服の影響
1066年のノルマン征服ことノルマン・コンクエストによって、フランス語系の名前が英語圏に流入しました。
これらの名前が英語化される過程で、現在のあだ名の多くが生まれたのです。
nickname という言葉の語源
これはもうただの豆知識なのですがnicknameという言葉自体が面白い語源を持っています。
中英語のeke name(追加の名前)から来ており、音の境界の誤解釈によりnicknameになったとされています。
よくある質問
なぜWilliamがBillになるのですか
William→Will→Billという変化で、中世の韻を踏む音変化の法則によるものです。同じ音で始まる文字に変化する傾向があり、WillのW音とBillのB音が似ているため変化しました。
一つの名前に複数のあだ名があるのはなぜですか
地域や時代によって異なる変化が起こったためです。短縮形→愛称語尾付加→韻を踏む変化など、複数の法則が適用されることで多様な形が生まれました。
現代でも新しいあだ名は生まれているのですか
はい、短縮形や愛称語尾の付加によって新しいあだ名が作られています。ただし、韻を踏む変化のような古い法則は現代では起こりにくくなっています。
男女で使えるあだ名が増えているのはなぜですか
現代の性別観の変化や、短縮形が性別を問わず使いやすいことが理由です。Alex、Chris、Pat、Samなどは男女どちらでも自然に使えるため人気があります。
比較表:人気あだ名の変化パターン
| 正式名 | 短縮形 | 韻変化 | 愛称形 | 特殊変化 |
|---|---|---|---|---|
| William | Will | Bill | Billy | – |
| Robert | Rob | Bob | Bobby | – |
| Margaret | Meg | Peg | Maggie, Peggy | Daisy |
| Elizabeth | Liz | – | Lizzy, Betty | Beth, Lilibet |
| Richard | Rich, Rick | Dick | – | – |
| Edward | Ed | – | – | Ned, Ted |
まとめ
英語圏のあだ名文化は、短縮・愛称語尾の付加・韻を踏む変化・音韻変化・頭文字の交換・歴史的接尾辞など、多様な言語的法則によって形成されています。
中世からの長い歴史を持つこれらの法則は現代でも活用されていて、新しい名前に対しても適用されています。
現代では一部の古い愛称が使用頻度を減らす一方で、性別を問わず使える愛称が人気を集めているとも一部ではいわれているようです。
また日本と大きく異なる点として、あだ名が独立した正式名として使われるケースも増えています。
これらのあだ名、ニックネームの理解はあまり知られていませんが、英語圏の生活上、欠かすことは出来ない知識かと思い今回ご紹介してみました。
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↓こちらベルリッツ、私も英語と中国語で2つ通ってました。

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