フォーやバインミーなどのベトナム料理やアオザイなどの文化が世界的に人気を集める中、英語圏でもベトナム由来の言葉が多く使われるようになりました。
以下のような言葉を知っておくとベトナム文化への理解が深まるだけでなくエスニック料理店や、世界的に移民も多いベトナム系の人たちとの、海外旅行中や留学中での会話の際にも役立つことでしょう。
ベトナム料理の世界
フォー Pho
ベトナムを代表する米麺のスープ料理で、発音は「ファー」に近いです。19世紀初頭に北部で生まれ、フランス植民地時代に牛肉の消費が増えたことで発展したとされています。地域によって味付けが異なり、北部はシンプルで南部は甘みが強い傾向があります。
バインミー Banh Mi
フランス統治時代の影響を受けたベトナム式サンドイッチです。「Banh」は食べ物、「Mi」は小麦を意味し、もともとはフランスパンそのものを指していました。
現在は具材を挟んだサンドイッチ全体を指す言葉として英語圏で定着しています。
ゴイクオン Goi Cuon
日本のスーパーやコンビニでも見かける透明な、いわゆる生春巻きです。
英語では「Summer Rolls」や「Fresh Spring Rolls」とも呼ばれます。揚げないヘルシーな春巻きとして健康志向の強い欧米で人気があり、ベトナム料理の入門的な存在となっています。
ヌックマム Nuoc Mam
魚(主にカタクチイワシ)を塩漬けにして発酵させた魚醤で、タイの「ナンプラー」に似ています。
ベトナム料理の味の基礎を作る重要な調味料で、英語圏では「fish sauce」と表記されることが多いです。料理によって薄めたり香辛料を加えたりして使われます。
カ・ペー・スア・ダー Ca Phe Sua Da
コンデンスミルク入りのベトナム式アイスコーヒーです。直訳すると「コーヒー、ミルク、氷」。
フランス植民地時代に持ち込まれたコーヒー文化と、当時牛乳が不足していたためコンデンスミルクを使う習慣が融合して生まれました。甘く濃厚な味わいが特徴です。
ビアホイ Bia Hoi
ベトナムの生ビールで、保存料を使わず製造当日に消費することを前提とした非常にフレッシュなビールです。英語では「fresh beer」と表現されることも。ハノイでは観光客にも人気の「ビアホイ・コーナー」と呼ばれる屋台街があります。
チャオ Chao
ベトナム式のお粥で、英語では「Vietnamese rice porridge」や「Vietnamese congee」と表記されます。中国の粥(congee)に比べて米の粒がしっかり残る作りが特徴で、具材も多彩です。
バイン・セオ Banh Xeo
黄色い「クレープ」のような見た目の揚げ物で、英語では「Vietnamese pancake」や「sizzling cake」と呼ばれます。ターメリックで黄色く色付けした米粉の生地にエビやもやしなどの具材を入れて焼いたもので、葉野菜に包んでディップソースと一緒に食べるのが一般的です。
ブン・ボー・フエ Bun Bo Hue
中部の古都フエが発祥の牛肉と太い米麺を使ったスープ料理です。フォーよりも辛く、レモングラスの風味と豚の血のソーセージが特徴的です。英語圏では「Hue-style beef noodle soup」と説明されることもあります。
ベー・タン Bo Kho
牛肉のシチューで、英語では「Vietnamese beef stew」と表示されます。フランスの「Boeuf Bourguignon」を起源としますが、シナモンやスターアニスなどの香辛料が加えられているのが特徴です。通常はフランスパンと一緒に提供されます。
ベトナムの文化と地理
アオザイ Ao Dai
ベトナムの伝統的な民族衣装で、フランス語の「tune longue(長い衣服)」から来た言葉だという説もあります。現代のデザインは1920年代にフランスの影響を受けて改良されたもので、今でも公式行事や学校の制服として着用されています。

ノンラー Non La
ベトナムの円錐形の帽子で、3000年以上の歴史があるといわれています。上のアオザイの写真の人たちのノンラーように、竹で作られた骨組みにヤシの葉を編み込んだ構造です。「conical hat」や「leaf hat」と呼ばれることもあります。観光のお土産としても人気の品です。
サイゴン Saigon
今のホーチミン市の以前の名前。1975年まで使われていました。ベトナム戦争中のアメリカ軍基地があったことから、英語圏では特に戦争に関連した文脈で使われることが多いです。「Miss Saigon」というミュージカルも有名で、現地では今でも日常会話でサイゴンと呼ぶことがあります。
ドン Dong
ベトナムの通貨単位で、記号は₫です。高額になりやすく、例えば1米ドルは約23,000ドン(2023年現在)となります。英語圏の旅行ガイドでは「VND(Vietnamese Dong)」と表記されることが一般的です。
ハノイ Hanoi
ベトナムの首都で、「川の内側の都市」という意味があります。1010年から首都として機能しており、フランス植民地時代の建築物と伝統的なベトナム様式が混在する独特の景観が特徴です。「Old Quarter(旧市街)」が特に有名です。
ハロン湾 Ha Long Bay
ベトナム北部の世界遺産で、「下りてきた龍」という意味を持ちます。約1,600の石灰岩の島と奇岩が点在する景勝地で、英語圏の旅行ガイドでは必ず紹介される観光スポットの一つです。
ベトナム戦争 Vietnam War
1955年から1975年まで続いた冷戦期の代理戦争で、アメリカが南ベトナムを支援し、ソ連と中国が北ベトナムを支援しました。英語圏では映画や文学や政治ニュースでも未だに日本の第二次世界大戦の話のように頻繁に取り上げられるテーマです。ベトナムとの会話では微妙な話題として扱われることがあります。
ベトナムの日常用語と社会
シンチャオ Xin Chao
「こんにちは」の意味で、最も基本的なベトナム語の挨拶です。発音時にはベトナム語の声調に注意が必要で、英語圏の旅行者向けのフレーズブックに必ず掲載されています。
カムオン Cam On
「ありがとう」を意味する言葉で、礼儀正しさを示す基本的な表現です。ベトナム訪問時に覚えておくと地元の人に喜ばれる言葉の一つです。
バオニエウ Bao Nhieu
「いくらですか」という意味で、買い物や交渉の際に使う便利なフレーズです。市場などでは価格交渉が一般的なので覚えておくと役立ちます。
リエン Lien
主に女性の名前で、「蓮の花」を意味します。英語圏ではベトナム系の人物の名前としてよく知られており、名前の由来を説明する際に文化交流の話題になることがあります。
フー Phu
「裕福」や「富」を意味する男性名で、ベトナムの伝統的な名前の一つです。英語圏ではベトナム系住民のファミリーネームとして見かけることがあります。
アン An
「平和」を意味する一般的なベトナム人の名前で、男女両方で使用されます。シンプルな発音のため、英語話者にも覚えやすい名前として知られています。
ベトナムの特産品
ラッカー漆器 Lacquerware
ベトナムの伝統的な工芸品で、特にハノイ周辺で生産されています。英語では「Vietnamese lacquer art」として知られ、色鮮やかな装飾が施された箱や皿などが観光客に人気です。
コーヒー豆 Coffee Beans
ベトナムは世界第二位の巨大コーヒー生産国で、特にロブスタ種の生産が盛んです。
シルク Silk
ベトナムは高品質のシルク生産で知られ、伝統的なアオザイから現代的なスカーフまで様々な製品に使用されています。「Vietnamese silk」は海外でも高級品として評価されています。
セラミック Ceramics
バッチャン焼きなどのベトナムの陶磁器は、伝統的な青と白の模様が特徴です。「Vietnamese ceramics」や「Bat Trang pottery」として海外のコレクターからも評価されています。
ベトナム料理のテクニック
ヌン Nuong
炭火焼きのことで、英語では「Vietnamese grilled」と表現されます。肉や魚を串に刺して焼く調理法で、レモングラスやニンニクなどで下味をつけることが多いです。
サー Sa
炒めるという調理法で、豚肉やエビなどを高火力で手早く調理します。英語のメニューでは「Vietnamese stir-fry」と記載されることが多いです。
ホム Hom
蒸す調理法で、魚や野菜をバナナの葉などに包んで蒸します。英語では「Vietnamese steamed dishes」として説明されることがあります。
コラム ベトナムの料理文化Q&A
フォーを家庭で美味しく作るには?
本格的なフォーのスープ作りは時間がかかりますが、市販のフォーペーストを活用すれば手軽に調理できます。
重要なのは具材よりもスープの味わいと香りです。仕上げにパクチー、バジル、ライムを添えることで本場の味に近づきます。
Q: ベトナムコーヒーは普通のコーヒーと何が違うのですか?
A: ベトナムコーヒーは通常、ロブスタ種の豆を使用し、深煎りで苦味が強いのが特徴です。
また独特のフィルター(フィン)を使ってゆっくり抽出し、コンデンスミルクと合わせて飲むスタイルが一般的です。アラビカ種が主流の欧米のコーヒーとは異なる味わいを楽しめます。
違いのわかる人じゃないくても明らかに別物とわかるくらい普通のコーヒーとは別の飲み物なので是非ベトナムに行った際はお試しあれ。自宅でも作ろうとすれば作れるのだけど、エスニックなお店などで器具を揃えないとなかなか大変なので。
シンプルに言うならば、激苦いコーヒーを激甘で中和した飲み物といえるかもしれません笑
ベトナム料理に欠かせない基本調味料は?
ヌックマム(魚醤):ほぼすべての料理の基本となる塩分と旨味の源。
ライム:酸味を加える
唐辛子:辛さ
砂糖:甘みのバランスを取る
Q: ベトナム料理で有名なハーブは何ですか?
A: ベトナム料理には様々なハーブが使われますが、特に重要なのはパクチー(コリアンダー)、ミント、タイバジル、ベトナムコリアンダー(Rau Ram)、レモングラスなどです。
これらのハーブが料理に独特の香りと風味を加えベトナム料理の特徴となっているといえます。