インドネシアは1万7000以上の島々からなる多様な文化を持つ国家です。
オランダの植民地時代からイギリスとの交流、そして現代のグローバル化によって、多くのインドネシア語が英語に取り入れられてきました。
インドネシア語自体が世界的にかなりメジャーな人口の言語ですが、これらの英語に取り入れられたボキャブラリーは食べ物、動植物、文化的概念などが多いと言えるでしょう。
動植物に関する言葉 バンブーもオランウータンも
Bamboo バンブー、竹
英語のバンブーはインドネシア語の「bambu」に由来する言葉です。日本でもおなじみの植物ですが、改めていうとイネ科バンブーソイデア亜科の常緑多年草です。
ちなみに成長が非常に早いことで知られていますがなんと一日に最大91cmも成長する種もあるほどです。
Komodo Dragon コモド・ドラゴン

厳密にはインドネシア語に由来するというのではないですが、この名前はこの巨大なトカゲが生息するインドネシアのコモド島に由来するものです。
体長3メートル、体重70kg以上にも達するものがおり、世界最大のトカゲとして知られています。1912年にヨーロッパに紹介されました。
Orangutan オランウータン
インドネシア語の「orang」(人)と「hutan」(森)に由来し、直訳すると「森の人」という意味です。ボルネオ(カリマンタン)島とスマトラ島に生息する2種の大型類人猿を指します。赤褐色の長い毛と長い腕が特徴で、主に樹上生活を送ります。
知能が高く、道具の使用や複雑な巣作り、文化的行動も観察されています。熱帯雨林の破壊によって生息地を失い、現在は絶滅危惧種に指定されています。
Cockatoo コカトゥー
インドネシア語/マレー語の「kakatua」に由来します。
元々は「年上の兄弟」を意味する尊敬語でした。特徴的な冠羽と曲がった嘴を持つオウム科の鳥で、インドネシアやオーストラリアに21種が生息しています。知能が高く社交性があり、人間の言葉を真似る能力も持っています。寿命が長く、飼育下では60年以上生きる個体もいます。美しい姿と愛嬌のある性格から、ペットとしても人気があります。
食物と農業に関する言葉
Paddy パディ
マレー語の「padi」に由来し、元は籾の状態や成長している稲を指していました。現在の英語では主に稲が栽培されている水田や水田地帯を表します。
アジア地域の棚田の景観は独特の美しさを持ち、観光資源としても注目されています。インドネシアのバリ島の棚田はユネスコ世界文化遺産にも登録されており、伝統的水利システム「スバック」とともに保全されています。
Durian ドリアン
インドネシア語で「とげ」を意味する「duri」に由来する言葉です。硬い刺のある外皮と強烈な臭気が特徴的な熱帯果実で、「果物の王様」とも呼ばれています。
独特の匂いのため、多くのホテルやバス、公共施設では持ち込みが禁止されていますが、その濃厚でクリーミーな果肉は多くの人に愛されています。栄養価が高く、東南アジアでは「熱い」性質を持つ食べ物とされ、「冷たい」性質のマンゴスチンと一緒に食べるのが理想的だとされています。
文化と芸術に関する言葉 ゴングを鳴らせ
Gong ゴング
格闘技やプロレスの試合で鳴らすゴングもジャワ語の「gong」に由来します。
元々は宮廷のガムラン・オーケストラで使用される大きな平面状の青銅製の打楽器を指していました。
現在では叩くと長く共鳴する金属製の円盤状の楽器全般を指す言葉として英語に定着しています。ガムランでは特に低音を担当する重要な楽器であり、曲の区切りや始まりを示す役割があります。古来より神聖な楽器とされ、多くの儀式や祭りに欠かせないものです。
Batik バティック
蝋を使って防染する伝統的な染色技法とそれによって作られた布を指します。特にジャワ島の伝統的工芸として有名で、2009年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。模様には哲学的な意味が込められていることが多く、特定の地域や場面で着用するパターンも決まっています。かつては宮廷の高貴な芸術でしたが、現在ではインドネシアの国民的アイデンティティの象徴となっており、毎週金曜日には公務員がバティックを着用する「バティックの日」が設けられています。
Sarong サロン
マレー語で「鞘」を意味する「sarung」に由来します。
英語では筒状になった大きな布を指し、腰に巻いて着用します。インドネシアやマレーシアなど東南アジア地域で日常着として広く使われており、男女ともに着用します。様々な素材やパターンがあり、地域によって着方や用途も異なります。イスラム教徒の礼拝時にも使われ、西洋では特にビーチウェアとしても人気があります。
その他のインドネシア由来の言葉 アモックもジャンクも
Amok アモック
マレー語/インドネシア語の「amuk」(猛烈に攻撃する、制御不能な怒りで暴れる)に由来します。英語では「run amok」(暴走する、手に負えなくなる)という表現でよく使われます。
歴史的には文化的に特定の文脈での行動パターンを指していましたが、現代では一般的に制御不能な状態を表す言葉として使われています。
19世紀の西洋人による東南アジアの記録には差別的に「マレー特有の狂気」として記されていましたが、今では文化的な文脈を離れて広く使用されています。そもそも第三者から見れば植民地政策で反乱にあっただけでは、というような気がしないでもないですが…。
Rattan ラタン
マレー語の「rotan」に由来する言葉で、東南アジアに自生するヤシ科の蔓性植物を指します。
柔軟で丈夫な茎は家具や工芸品の材料として世界中で利用されています。伝統的にはかごや帽子、マット、家具などの日用品に加え、武術で使われる棒としても利用されてきました。
持続可能な材料として近年再評価されており、環境に配慮した製品に使われることが増えています。
Kris クリス
「keris」とも表記される、インドネシアとマレーシアの伝統的な非対称の波型刃を持つ短剣です。
単なる武器ではなく、宗教的儀式や権力の象徴として重要な意味を持ちます。刃には複雑な波形パターン(ルク)があり、それぞれに名前や意味が付けられています。伝統的には霊的な力を持つとされ、所有者を守護すると信じられています。
2005年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されたほどです。
Gamelan ガムラン
インドネシア、特にジャワ島とバリ島の伝統的な合奏音楽とその楽器群を指します。
主に青銅製の打楽器(ゴング、メタロフォン、シンバルなど)で構成されており、独特の音階と複雑なリズムパターンが特徴です。宮廷音楽や影絵芝居(ワヤン)の伴奏、宗教儀式など様々な場面で演奏されます。20世紀の西洋音楽家、特にドビュッシーやサティにも影響を与えました。
Junk ジャンク
船のジャンク船、これは「jong」という、ジャワ語で大型の船を意味する言葉に由来するという説が有力です。東南アジアの大型貿易船ですね。この言葉が中国経由で英語になりジャンク船となりました。
「がらくた」や「役に立たないもの」という意味で使われるジャンクはjunkでつづりが同じです。しかしそちらの意味でのジャンクはインドネシアや船との関連はないので少しそこはややこしい点といえるでしょう。
15-16世紀のインドネシアの貿易船は当時最先端の技術を持ち、中国や日本、インドとの交易に使われていました。西洋人が初めてこれらの船を見たとき、その大きさと設計に驚いたと記録されています。つまりまったくガラクタの方のジャンクでジャンク船というわけではないということです。
Coolie クーリー
この言葉はタミル語が起源という説もありますが、インドネシア・マレー語の「kuli」(重労働者)に由来するとする説もあります。
かつては東南アジアやインドの非熟練労働者を指していましたが、現在では差別的な言葉とみなされ、一般的な英語では使用が避けられています。19世紀から20世紀初頭にかけて、プランテーションや鉄道建設などの労働力としてアジア各地から労働者が契約労働者として送り込まれた歴史があります。
Satay サテ
エスニック料理好きならご存知かもしれないサテ。インドネシア・マレー語の「sate」に由来し、小さく切った肉を串に刺して焼き、ピーナッツソースを添えて食べる料理です。大きめの焼鳥のような感じですね。
東南アジア全域で人気があり、様々なバリエーションが存在します。インドネシアでは最も一般的な料理の一つで、屋台から高級レストランまで幅広く提供されています。19世紀以降の移民と共に世界各地に広まり、現在では国際的に知られる料理とな。
Kapok カポック
マレー語の「kapuk」に由来する言葉で、熱帯に生育する木(パンヤ)の種子から取れる綿毛状の繊維を指します。耐水性に優れているため、救命具や枕、マットレスの詰め物として広く使われてきました。
近年は合成繊維に取って代わられましたが、天然素材への回帰とともに再び注目されています。インドネシアは世界最大のカポック生産国の一つで、伝統的に重要な輸出品でした。
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