【SR?】物理学で使われる英語の略語まとめ【RF?】

略語

物理学で使う英語の略語まとめ一覧表

物理の論文や教科書を読む際は様々なアルファベットの略語に遭遇することでしょう。

今回の記事を読むと専門的な内容の論文や科学雑誌を読むときの、ちょっとした手間が省けるかもです。物理学分野でよく使われる略語、そしてその背景知識もシンプルにまとめてみました。

物理学の英語の略語

EM 電磁気学

Electromagnetism(電磁気学)の略で物理学における基本的な分野の1つ。電場と磁場の関係性を扱いMaxwellの4つの方程式で表現される現象です。光学や電子工学の理論的基盤となっています。

QM 量子力学

Quantum Mechanics(量子力学)の略。原子以下のミクロな世界の粒子の挙動を記述する理論体系で波動関数やHeisenbergの不確定性原理が特徴的です。物理略語で「Q」から始まるものはほとんどが量子(Quantum)関連を指します。

QED 量子電気力学

Quantum ElectroDynamics(量子電気力学)の略。光と物質の相互作用を記述する量子場理論でファインマンダイアグラムを用いて視覚的に表現されることが多いです。関連してQCD(量子色力学)という略語もあります。

PV パリティの破れ

Parity Violation(パリティの破れ)。弱い相互作用において空間反転対称性が破れる現象で1956年にLeeとYangによって予言されWuの実験で確認されました。素粒子物理学の標準模型の発展に大きく貢献した発見です。

QFT 場の量子論

Quantum Field Theory(場の量子論)。素粒子や準粒子の量子力学的モデルを構築するための理論的枠組みで相対性理論と量子力学を統合した現代物理学の基礎理論です。

相対性理論の略

GR 一般相対性理論

General Relativity(一般相対性理論)の略。1915年にアインシュタインによって完成された重力理論で重力を時空の湾曲として解釈する革命的な概念を提示しました。ブラックホールや重力波の予言につながりました。

SR 特殊相対性理論

Special Relativity(特殊相対性理論)の略。1905年にアインシュタインが発表した時間と空間の関係を記述する理論で光速度不変の原理と相対性原理に基づいています。有名なE=mc²の式はこの理論から導かれました。

日常でも聞く物理関連略語

LED 発光ダイオード

Light Emitting Diode(発光ダイオード)の略。電流が流れると発光する半導体素子で従来の電球と比べて省エネルギーで長寿命という特徴があります。OLED(有機EL)などの派生技術も開発されています。

LCD 液晶ディスプレイ

Liquid Crystal Display(液晶ディスプレイ)の略。液晶の光変調特性を利用した表示装置で現代のディスプレイ技術の主流となっています。TN、VA、IPSなど様々な方式があります。

RF 高周波

Radio Frequency(高周波)の略。約3kHzから300GHzの電磁波の周波数帯を指し無線通信やレーダー技術など幅広い応用があります。RF工学は電子機器設計において重要な専門分野です。

物理量と単位

THz テラヘルツ

周波数の単位で1テラヘルツは毎秒1兆(10¹²)サイクルに相当します。テラヘルツ波は電波と赤外線の間の周波数帯にあり分光学やイメージング技術で注目されています。

K ケルビン

ケルビン卿(William Thomson)にちなんで名付けられた温度の単位。絶対零度(0K)は約-273.15℃ですべての熱運動が理論上停止する温度です。物理学では摂氏よりもケルビンが標準的に使用されます。

MeV メガ電子ボルト

素粒子物理学で使われるエネルギーの単位。1MeVは10⁶電子ボルトで原子核結合エネルギーや素粒子の質量を表すのに適したスケールです。eVはelectron Voltsの略です。

GeV ギガ電子ボルト

10⁹電子ボルトを表し陽子や中性子といった重い粒子の質量を表現するのに適したエネルギー単位です。LHCなどの加速器物理学でよく使われます。

TeV テラ電子ボルト

10¹²電子ボルトを表し最高エネルギーの素粒子実験で用いられるスケールです。LHCの衝突エネルギーはTeV単位で測定されます。

Ryd リュードベリ

Rydberg(リュードベリ)の略で水素原子のスペクトル線を研究した物理学者にちなんだエネルギー単位です。原子物理学で電子の励起状態を表すのによく使われます。

物理法則と方程式

C 光速

真空中の光速を表す物理定数で約299,792,458 m/sです。特殊相対性理論においてすべての観測者にとって不変な量として重要な役割を果たします。

E=mc² 質量エネルギー等価式

アインシュタインの特殊相対性理論から導かれた方程式でエネルギー(E)と質量(m)が光速(c)の二乗を介して変換可能であることを示しています。核エネルギーの理論的基礎となった革命的な概念です。

HF 超微細構造

Hyperfine structure(超微細構造)の略で原子核と電子の相互作用による原子のエネルギー準位の微小な分裂を指します。原子時計の基礎となる現象でセシウム原子の超微細構造遷移が1秒の定義に使われています。

H ハッブル定数

宇宙の膨張率を表す定数で天文学者エドウィン・ハッブルにちなんで名付けられました。現在の測定値は約70km/s/Mpcで宇宙の年齢や運命を考える上で重要なパラメータです。

その他の略語

LHC 大型ハドロン衝突型加速器

Large Hadron Collider(大型ハドロン衝突型加速器)の略。スイスのCERNにある周長27kmの世界最大の粒子加速器で2012年にヒッグス粒子の発見に貢献しました。

Higgs ヒッグス粒子

2012年にLHCで発見された基本粒子で素粒子物理学の標準模型における質量の起源を説明するヒッグス場に関連しています。フランソワーズ・エングラートとピーター・ヒッグスがその理論的予言でノーベル物理学賞を受賞しました。

VSEPR 原子価殻電子対反発理論

Valence Shell Electron Pair Repulsion(原子価殻電子対反発理論)の略。電子対の静電反発に基づいて分子形状を予測するモデルで化学結合の三次元構造を理解する上で重要な理論です。