中国由来の英単語 ケチャップ、ガンホー、マンダリンの意味まで
Tai chi 太極
太極拳。中国語のT’ai chi ch’uanまたはTaijiquanを音訳し略したものである。
英語のtai chi はリラクゼーションと健康のためにゆっくりと行われる一連の太極拳のエクササイズを指すことが多い。
中国では朝公園を歩くとこれを実際にやっている光景を小さい公園などでも目にする機会がある。
また余談だが、太極拳は本来はその名前の通りマーシャルアーツである。
あくまで遅い動きの太極拳は誰もが行えるように改変したものだ。本来の太極拳は少林拳のように早く鋭い動きである。武器を使うこともある武術の体系なので剣を使う太極剣というものもある。
Kung fu 功夫
カンフーは、中国語の gōng(功、仕事を意味する)と fū(夫、人間を意味する)を英語化したもので、共に大きな努力による達成を意味する。ただ実際は中国武術を指す言葉としてよく使われる。
Feng shui 風水
中国語の fēng(风、風を意味する)と shuǐ(水、水を意味する)に由来する。
自然界と調和しエネルギー(気)の流れが最適になるように生活空間を配置する、古くから行われてきた習慣である。土地は生きており気(エネルギー)で満たされているという考え方に基づいているようだ。
また英語では”wind-water “とも訳される。
より具体的には、生活空間、は家の中の物の配置を考える方が多いと思うがそれは一部である。
それ以外に建物や都市環境などかなり規模の大きいゾーンも扱う。風水は人々がそれら周囲の環境を設計し、配置するかによって、健康、富、人間関係に影響を与えることができるという信念に根ざしているわけだ。
歴史的には風水らしきものが行われていた歴史は3000年ほど前に遡り、風水という語が使われたのも2000年近く前であり相当古い。
こうして何世紀にもわたり中国の建築やインテリアデザインだけでなく中国の都市設計に影響を及ぼしてきた風水は周辺の国にも影響している。
例えば日本の京都の都市設計も風水の一部が入った思想が取り入れられた設計になっている。また近代に作られた都市である香港などもその代表的な事例である。
大規模なビルの形状や配置、内部構造などにまで風水が目に見える形で取り入れられているビルも多い。
Yin and yang 陰と陽

陰陽は中国語の「yīn(阴)」と「yáng(阳)」に由来し、中国哲学によれば、調和した宇宙を構成する、相反するが相補的な力や原理を表している。
具体的にはヨーロッパ語族で多い男性名詞女性名詞のような感じで多くが根拠不明ながらいろいろなものを陰と陽に分けられていたりする。
ベンチで頭を下げているキアヌ・リーブスの横でテイラー・スウィフトが明るいライブをしていてもキアヌが陽である。
左右なら左が陽で右が陰だ。もちろんどちらが良くどちらが悪いとかではない。
Chopsticks 箸
箸は早くという意味のピジン英語のchop chopと英語のstickから来ている。
北京語ではこれらの道具は「筷子(kuàizi)」と呼ばれる。英語でchopsticksは、様々なアジア料理でよく使われるこのタイプの調理器具を指す。
Wok 中華鍋
「中華鍋は、中国発祥の汎用性の高い丸底の調理鍋である。広東語の「wōk」が語源である。
英語では wok はこの特定のタイプの調理鍋を指し、様々な調理法で使われる。
Ping-pong ピンポン、卓球
これは中国語由来では、ない。がたまにそう思われている節があるのであえてコラムを兼ねて書いてみたい。
まずPing-pong は卓球のボールが当たったときに発する音に由来する擬音語である。起源としてはビクトリア朝時代のイギリスで生まれ上流階級の間で流行したスポーツだ。table tennisと同じ意味で使われる。
昔は発祥の英国、ヨーロッパ大陸勢、日本のいわゆる列強が強く選手権のほとんどのタイトルはそれらの国がとっていた。
しかし1960年あたりを境に、今ではもっぱら中国のスポーツなんじゃないかと思うほど中国の選手が活躍している。なぜか?
その優位性にはいくつかの要因がある。
卓球は20世紀初頭に導入されて以来中国で人気を誇り、中国の国家誕生時に少林拳や太極拳など独自な体育文化を持つ中国においてなんとなぜか英国発祥の卓球が国技と制定されるほどの地位を得る。
その後も国際大会などでは成果はないものの中国政府は卓球に多額の投資を行う。若いうちから才能を発掘し、育成するための大規模なトレーニングプログラムや施設を着々と整えてきた。
これにより選手層の厚さや国内の競争だけならず、時には対戦国の相手の選手の動きを完全コピーをさせた選手を育成しトップ選手のトレーニング相手とすることで中国は世界最高の地位を1960年以降ほとんど一貫して保っている。
スポーツという言葉は本来気晴らしであるが、それとはほとんど真逆の徹底した真剣さで取り組むことでここ数十年にわたり国際大会を席巻しているのである。
今でもドイツや日本や韓国では卓球は人気のスポーツの一つであるが、中国の熱量とは比べ物にならないといえるだろう。
Tofu 豆腐
豆腐は豆乳を凝固させた食品である。直接には日本の発音が言っているが元を辿れば語源は中国語の豆腐(dòufu)なのでこちらの記事に入れておいた。
英語での tofu の使用は特にベジタリアンやビーガン食の文脈で聞くことが多いかと思う。
Bok choy 白菜
白菜は広東語で白い野菜を意味する baak choi に由来する。
中国原産の野菜のためChinese cabbageともいう。
余談だが日本語の「菜っ葉」由来のNapa cabbageという謎の呼び名は白菜を指す場合それらよりなぜかメジャーかもしれない。
Chow mein 炒麺
炒麺は中国語の chǎo(炒)と miàn(面)に由来する。通常、麺、肉、玉ねぎ、セロリで構成される。
Peking duck 北京ダック
北京ダックは中国語名 Běijīng kǎoyā(北京烤鸭)を英語化したもの。
アヒルをパリッとつやつやになるまで焼いた北京の有名な料理を指す。その名の通り北京料理だが世界各地の中華料理店でかなり多く一般的に提供されている。
Litchi ライチ
荔枝(lìzhī)の英語表記。中国原産の丸い熱帯果実だ。甘く花のような風味と芳しい香りで知られている。
Mahjong 麻雀
麻雀は中国語のmájiàng(麻将)に由来し、伝統的に4人のプレイヤーと漢字や記号に基づいた144枚の牌のセットでプレイされるゲームである。
英語ではmahjongはこのゲームを指すのに使われ、様々な地域のルールがあり、オンラインでもよくプレイされている。
日本やアメリカにもあるが中国外の方が流行っている印象もある。
アメリカの禁酒法のように中国では一時期禁止されていた。今でも一部のコミュニティや例えばオンラインゲームでは禁止令が出されていたりする。
Kowtow 磕头

Kowtowはkòu tóu (磕头)に由来する。
もともとは深々と頭を下げ、地面に頭をつけて敬意や謝罪を表す伝統的な行為を指す言葉である。
歴史は驚くほど長く、西周などの中国の記録されている、中国の歴史のほとんど始まりの頃から存在している。
英語ではkowtow は過剰な従属を示す意味に拡張されている。
世界史で中国関連史を学んだ人ならばイギリスの外交使節団がこれの清朝バージョンであった三跪九叩の礼で、中国との間に外交問題になったことで覚えているかもしれない。
Tea 茶
茶は中国語のchá(茶)に由来する。
あえてマニアックな説明をすると、東アジア原産のカメリアシネンシスという植物の葉から作られる飲料の一種である。
Dim sum 点心

点心は広東語の dīm sām(點心)に由来し、小さな蒸籠や小皿に盛られた一口サイズの料理を指す中国料理のスタイルである。お茶と一緒に楽しむことが多い。
ちなみに歴史的にはシルクロードの旅人や商人の休憩所となった宿や茶屋に由来する。
これらの店ではお茶とともに小さな料理が提供されるようになり、今日知られている多種多様な点心料理を含む飲茶文化へと発展していったのだ。
伝統的に小さな蒸籠や小皿で提供される点心には、餃子、饅頭、菓子パン、その他の香ばしいものや甘いものが含まれる。
中国でなくても色々な国にある、少し規模の大きな中華料理店やチャイナタウンの料理店で味わえる機会もある。
Wonton ワンタン
ワンタンの語源は広東語のwàhn tān(雲吞)で雲を飲み込むという意味である。
ワンタンの中身は通常、スパイスの効いた豚ひき肉が少量入っている。ワンタンという言葉は、英語ではこの種の餃子を指すのに使われる。
Typhoon タイフーン
台風は広東語の大風(daai fung)に由来し大きな風を意味する。
これはハリケーンやサイクロンに相当するが台風という言葉は北西太平洋の暴風雨に対して使われる。英語ではこの地域の熱帯低気圧を表す言葉として使われている。
Ketchup ケチャップ
ケチャップは中国のトマトソースであるkeh jupに由来すると考えられている。
英語のケチャップは一般的にトマトから作られる甘くてピリッとしたソースを指す言葉として使われているが意味は変わっていないわけである。
Gung ho ガンホー
中国語の工合(gōnghé)から取られた英語である。
これは元々は中国工業合作社(Chinese Industrial Cooperatives)の略称である。これは日中戦争で日本に対抗していた中国の人々たちの組織だ。
ガンホーには力を合わせるという意味があり、これがその後アメリカの海兵隊の中に掛け声として広がる。
英語では、過度に熱心な、熱狂的なという意味で使われる。
そして巡り巡ったのか、いきさつはよくわからないが、日本の大人気スマートフォンゲームパズドラを提供する日本の企業の名前は正にこのガンホーである。
不思議な言語の流れである。
Canton 広州
広州市のポルトガル語名Cantãoに由来する英語化された用語である。
もともとは広州市を指していたが、英語ではより一般的に広東省全体やその料理を指す言葉として使われるようになった。
香港の近くの南部の中心的な大都市である。
Szechuan 四川
中国の四川省(Sìchuān)の英語名である。
そして四川料理をこれだけで指すことが多い。ニンニクや唐辛子をふんだんに使い、四川独特の唐辛子を使うため、大胆で刺激的な辛さで有名な料理が特に有名だ。
麻婆豆腐に代表される。
Chop chop チョップ・チョップ
チョップチョップは広東語で「早く」を意味するチョックチョック(速速)に由来する。
英語では、誰かに急ぐように促すフレーズとして使われる。
Mandarin マンダリン
中国語は種類が多い。文字の見た目がかけ離れているロシア語はともかくドイツ語とポルトガル語をまとめてヨーロッパ語と呼ぶようなくくりで考えるとかなり近いかもしれない。
マンダリンは中国で最も広く話されている中国の標準語を指す。
中国語では普通话(Putonghua)または官话(Guanhua)のことである。
帝政中国でそうした言語を行政言語として使用していた官吏や宦官にちなんでヨーロッパ人に名付けられたわけである。
マンダリンでマンダリンオレンジを考えた人も間違ってはいない。それは同じく彼ら中国の官僚の服の色からそう呼ばれるようになった果物である。
Chow chow チャウチャウ
ライオンのような外見で知られる犬種の一種を指す言葉であり、原産地は中国北部で、ふくらんだ獅子犬を意味するsōngshī quǎn(鬆獅犬)と呼ばれる。
ちなみにチャウチャウという言葉の語源は明確ではないが複数の起源があると考えられている。
一説によると、中国語で混ぜるを意味する “cha “が語源であり、チャウチャウレリッシュ(野菜の組み合わせから作られる漬物)の混ざった材料を指しているのではないかと言われている。
もう一つの説は、18世紀に東洋の小間物や雑多なものを表すのに使われた「チャウチャウ」というピジン英語のフレーズに関連している。
また、この言葉はチャウチャウという犬種にも関連しているが、これは別の意味で無関係な用法である。
Fortune cookie フォーチュンクッキー

小麦粉、砂糖、バニラ、ゴマ油から作られるサクサクのクッキーである。
中に「おみくじ」が書かれた紙が入っている。アメリカでは中国の伝統と思われているが、実際には中国には存在せず、20世紀初頭にカリフォルニアに移民した人たちが発展させたものである。
実は絵文字にもある🥠。
絵文字のリストを見ていてなんだこれと思っていた人も多いんじゃないだろうか?
Soy 醤油
そして
Soybean 大豆
これは日本の語源と言ってもいいかもしれない。言葉のルーツは日本、物のルーツは中国だと考え、一応こちらに記載した。
Soyは直接には日本語の醤油(shōyu)に由来する。なんと早くも17世紀、江戸時代には日本からオランダ経由で醤油がヨーロッパに輸出されていたのだ。
そうして英語にもオランダ語経由で広まった単語なのである。Soybeanは大豆だが、つまり、これも醤油が出来る豆という意味なのだ。
冒頭の説明だが、醤油は歴史を遡れば遥か紀元前の中国発祥の、醤(ジャン)、という発酵調味料にルーツをもつ液体調味料であると考えられる。
そもそも実はこのジャンぽい調味料が中国だけじゃなく東アジアや東南アジア一帯に似た調味料が数多くあるので、おそらく発祥は中国だと思うのだが正確なことはちょっとわからない。
ちなみに現代我々が使う日本の醤油にほぼ近いものができたのは室町時代だと言われている。
Char siu チャーシュー
チャーシューは広東語のchā shāo(叉烧)に由来する。
広東料理におけるウーシャンフェン(五香粉)などで味付けをした焼豚、バーベキューした豚肉を指す。
ロングタイムノーシーの意味
Long time no see ロングタイムノーシー
英語の”Long time no see”、英語を学び始めた頃に、挨拶とはいえ一体なんだこの単語の構成と思っていた人も多いんじゃないだろうか?
実はこれも中国語由来だ。
中国語のまたね、であるhǎojiǔ bújiàn(好久不见)を直訳した英語フレーズなのである。好久は長い間、不见は見ないという意味である。
貿易の際の異言語の人同士の間で出来る言語をピジン語というが、このフレーズは中国のピジン英語に由来するわけだ。
英語話者と中国人の交流を通じて英語話者の間に入って普及したフレーズである。
理由はわかっていないが、おそらく語感のリズムの良さが広く採用された原因じゃないだろうか。
元の中国語のはハオジュープージエン!英語の肩はロングタイムノーシー!両方とも響きがなんとなく言いたくなる感じじゃないだろうか。
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