テニスの試合を観るとき、解説者が使う専門用語の意味がわかれば観戦がより一層楽しくなるかと思います。
特に熟語にしぼりテニス用語の英語を解説します。
スコアと試合の進行
Love All ラブオール
試合開始時のスコア0対0を表す言葉です。Loveの語源はゼロを表すフランス語の「l’oeuf(卵)」に由来するという説がありますが、明確な結論は出ていません。「オールスクエア」という表現も同じ状況を指すことがあります。
Break Point ブレイクポイント
レシーバーが次のポイントを獲得することでゲームに勝利できる状況です。相手のサーブゲームを「ブレイク」できるチャンスなので、試合の重要な転換点になります。「セットポイント」や「マッチポイント」と並ぶ試合の山場です。
Match Point マッチポイント
次のポイントを取れば試合に勝てるという場面です。選手にとって最も精神的プレッシャーがかかる瞬間の一つで、観客も静寂を保つことが多いでしょう。カウントダウンの「チャンピオンシップポイント」とも呼ばれます。
Grand Slam グランドスラム
全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン、全米オープンの4大大会のことです。元々はカードゲーム「ブリッジ」の用語で、1年間にこの4大会すべてで優勝することを「グランドスラムを達成する」と言います。歴史上、これを成し遂げた選手は数少ないです。
Wild Card ワイルドカード
標準的な予選を通過していなくても、特別に大会参加を許可された選手を指します。主催者判断で地元選手やかつての名選手、将来有望な若手に与えられることが多いです。復帰戦の選手が特別枠で参加するケースもあります。
コートエリアと位置
Baseline Game ベースラインゲーム
コート後方のベースラインに主に留まってショットを返す戦略です。現代テニスでは多くのトッププレーヤーが採用しています。「グラウンドストローク主体のゲーム」とも表現され、ナダルやジョコビッチがこのスタイルの代表格です。
Deuce Court デュースコート
コートの右半分を指します。スコアがデュースになったときにサーバーがサーブを打つ位置であることから名付けられました。右利きの選手にとってはバックハンド側が多くなるエリアです。「アドコート」の反対側にあたります。
Advantage Court アドバンテージコート
コートの左半分のことです。デュースの後、次のポイントを獲得した選手が「アドバンテージ」を得た状態でサーブを打つ位置に由来します。右利きの選手にとってはフォアハンド側になるエリアが多く、「アドコート」と略されることもあります。
Sweet Spot スイートスポット
ラケットでボールを打つのに最適な箇所です。ここで打つとパワーが最大化され振動が最小になるため、選手は常にこの部分でボールを捉えようとします。ラケットの中心よりやや上の部分にあることが多く、「パワーゾーン」とも呼ばれます。
Changeover チェンジオーバー
選手がコートサイドを交代する間隔のことです。奇数ゲーム終了後に行われ、通常は90秒の休憩が認められています。選手がタオルで汗を拭いたり水分補給したりする姿がよく見られる時間帯です。
ショットの種類と戦術
Top Spin トップスピン
ボールに前方回転をかけるショットです。ボールが高く弾み、コート内に収まりやすくなるため、強打しても安全にプレーできます。クレーコートでは特に効果的で、ナダルの強烈なトップスピンフォアハンドは「最強の武器」と称されています。
Drop Shot ドロップショット
やわらかく打ち、ネット近くに短く落とすショットです。相手がベースラインから前に出るのを嫌がる場合や、動きの遅い選手に対して有効な戦術になります。「タッチショット」とも呼ばれ、繊細なコントロールが求められます。
Serve and Volley サーブアンドボレー
サーブ後すぐにネットに詰める古典的な戦術です。特に芝コートで効果的で、フェデラーやサンプラスなど多くの名選手が得意としてきました。現代では返球技術の向上により使用頻度は減りましたが、相手を驚かせる戦術として時折見られます。
Chip and Charge チップアンドチャージ
リターンをスライス(アンダーカット)して低く返した後、素早くネットに詰める戦術です。「チップ」は軽く切るショット、「チャージ」は前進する動きを表します。攻撃的なリターン戦術として効果的で、相手のリズムを崩す目的でも使われます。
Cross-Court Shot クロスコートショット
コートの片側から対角線上にボールを打つショットです。ネットが低く、コートが長いため安全性が高く、基本的な戦術として多用されます。相手のコートポジションを崩したり、角度をつけて攻撃したりする目的で使われます。
Down the Line ダウンザライン
サイドラインに沿って直線的に打つショットです。より短い距離を通るため速さでポイントを取れますが、ネットが高く難易度も高めです。相手が次のクロスコートを予測している場合に効果的な逆を突く戦術になります。
Approach Shot アプローチショット
ネットに向かって前進しながら打つショットです。このショットの後、選手はネットでボレーを狙います。相手を後方に押し込んでからのアプローチが理想的で、ネットプレーに移行するための重要なつなぎのショットです。
Half Volley ハーフボレー
ボールがバウンドした直後に打つ難しいショットです。タイミングが非常に重要で、上級者の技術を示す指標とされることもあります。「ピックアップ」とも呼ばれ、特に芝コートでは頻繁に必要となる技術です。
ルールと審判関連
Double Fault ダブルフォールト
サーバーが2回連続してサービスに失敗し、ポイントを失うことです。メンタル面の弱さを示すことも多く、重要な場面でのダブルフォールトは試合の流れを大きく変えることがあります。「サーブがダブる」という表現も使われます。
Foot Fault フットフォールト
サーブ時に足がベースラインを踏み越してしまう反則です。審判が厳格に適用するかどうかで物議を醸すことも多く、2009年の全米オープンではセリーナ・ウィリアムズがこれを巡って審判と口論になった有名な事例があります。
Hold Serve ホールドサーブ
自分のサービスゲームに勝つことです。プロの試合では特に男子シングルスでホールド率が高く、その中でのブレイクの重要性が増します。「キープサーブ」とも呼ばれ、特に芝コートでは重要性が高いとされています。
Unforced Error アンフォーストエラー
相手からの強いプレッシャーなしに犯したミスのことです。試合の統計で重要な指標となり、この数が多いと精神的に不安定な状態を示すことが多いです。「自滅」と表現されることもある、選手自身のミスによるポイントです。
Hawk-Eye Challenge ホークアイチャレンジ
ボールの軌道を追跡するコンピューターシステムを使って、審判の判定に選手が異議を申し立てること。各セットで限られた回数しか使えず、判定が覆った場合はチャレンジ権が復活します。近年では「電子ライン判定」も導入されつつあります。
トーナメント形式と大会
Main Draw 本戦
トーナメントの主要部分を指します。シードされた選手、ランキング上位者、予選勝者、ワイルドカード選手などが参加します。グランドスラムでは通常128人のドローで行われ、7回勝ち進むと優勝となります。
Lucky Loser ラッキールーザー
予選最終ラウンドで敗れたものの、本戦出場選手の欠場により繰り上がって本戦に出場する選手です。「幸運な敗者」という意味で、予選での敗戦順位やランキングに基づいて選ばれます。思わぬチャンスを得るため、大会会場に残って待機する選手も多いです。
Prize Money 賞金
大会で獲得できる金銭的報酬です。ラウンドごとに金額が設定されており、グランドスラムでは優勝賞金が数億円に達します。男女の賞金格差是正も進んでおり、現在では多くの大会で男女同額の賞金が設定されています。
Q&A
Q: サーブのファーストとセカンドの違いは何ですか?
A: ファーストサーブは1回目のサーブで、通常は速さやコースを重視した攻撃的なものが多いです。セカンドサーブは1回目が失敗した場合の2回目のサーブで、安全性を高めるため回転をかけたり、スピードを抑えたりすることが一般的です。
ダブルフォールトを避けつつ攻撃性も保つバランスが重要になります。
Q: テニスのサーフェス(コート表面)の種類と特徴は?
A: 主なサーフェスはハード、クレー、芝の3種類です。ハードコートは比較的速いバウンドで北米大会に多く、クレーコートは赤土で作られた遅いコートで欧州に多く見られます。芝コートは最も速いバウンドが特徴で、ウィンブルドンで使用されています。
選手によって得意なサーフェスが異なり、「オールラウンダー」はすべてのサーフェスで好成績を残せる選手を指します。