スコットランド系の名前とその由来まとめ【Mcって何?】

まめちしき

スコットランド系の代表的な名前とその由来の一覧まとめ

スコットランドは今ではイギリスの連合王国の一部ですが、豊かな歴史と独自の文化を持つ国であり、その名前の由来にも興味深い背景があります。

ケルト文化、ゲール語の影響、イングランドとの関係性など、様々な要素がスコットランドの名前に反映されています。

氏族(クラン)の伝統が強いスコットランドでは、姓が単なる家族名以上の意味を持ち、所属するコミュニティや血統を示す重要な要素となるなど変わった特徴があります。

また、歴史的な人物や守護聖人の影響を受けた名前も多いのも特徴です。ウィル・スミスからマクドナルドまで、アメリカ人でもスコットランド系の人は多いのでよく聞く名前も多いかと思います。

いきなりですがもったいぶるのは嫌いなのでいきなり説明すると、タイトルのMcはだれだれの息子という意味です。

つまり、マクドナルドはドナルドの息子ということですね。

スコットランドの伝統的な姓

Campbell (キャンベル)

ゲール語の「Caimbeul」(曲がった口)に由来し、スコットランド西部ハイランド地方の最も強力な一族の一つです。 キャンベル一族はアーガイル公爵家として知られ、17世紀には王権に次ぐ権力を持つほどの影響力がありました。 歴史的にマクドナルド一族との抗争が有名で、1692年のグレンコーの虐殺ではキャンベル一族がマクドナルド一族を襲撃しました。

アレック・キャンベル(イギリスの元陸上競技選手、1924年パリ五輪の金メダリスト、映画『炎のランナー』のモデル)

ナオミ・キャンベル(イギリスのスーパーモデル、ファッション界の伝説的存在)

MacDonald (マクドナルド)

「Mac Donald」(ドナルドの息子)を意味し、12世紀に遡るスコットランド最古の氏族の一つです。 かつて「諸島の王」と呼ばれるほどの勢力を誇り、特にヘブリディーズ諸島を拠点としていました。 「Mac」や「Mc」はゲール語で「息子」を意味する接頭辞で、スコットランドとアイルランドの姓によく見られます。

フローラ・マクドナルド(ジャコバイトの反乱で追われていたボニー・プリンス・チャーリーを救った女性英雄)

アーチー・マクドナルド(映画監督・プロデューサー、インディペンデント映画で活躍)

Stewart (スチュワート)

古英語の「stigeweard」(家令、執事)に由来し、スコットランド王家の姓として広く知られています。 スチュワート家は1371年から1714年までスコットランドを統治し、その後イギリス全体の王朝となりました。 姓の綴りはStuartとも表記され、特にフランスを経由したメアリー・スチュアート女王以降この綴りも広まりました。

ジェームズ・スチュワート(アメリカの俳優、『素晴らしき哉、人生!』などの名作で知られる)

ロッド・スチュワート(イギリスのロック歌手、特徴的なハスキーボイスで人気)

Murray (マレー)

スコットランド北東部のモーレイ地方に由来し、ゲール語で「海の集落」を意味します。 ダンケルドの公爵家として知られ、ジャコバイトの反乱にも関わった歴史ある名門一族です。 タータンチェックの模様が美しいことでも知られ、クラン・マレーのタータンは世界的に人気があります。

アンディ・マレー(スコットランド出身のテニス選手、ウィンブルドン優勝者)

ビル・マレー(アメリカの俳優・コメディアン、『ロスト・イン・トランスレーション』などで知られる)

Scott (スコット)

元々はスコットランド南部出身のゲール系の人々を指す言葉で、「アイルランドからの移住者」を意味するとも言われています。 サー・ウォルター・スコットの影響で19世紀以降、スコットランド文化やハイランド文化への関心が高まりました。 ボーダー地方(イングランドとの国境地帯)のクランとして発展し、独自のタータンを持っています。

リドリー・スコット(イギリスの映画監督、『エイリアン』『ブレードランナー』など多数の名作を生み出す)

アダム・スコット(アメリカの俳優、『パークス・アンド・レクリエーション』などのコメディドラマで人気)

職業に由来する姓

Smith (スミス)

「鍛冶屋」を意味し、スコットランドのみならず英語圏で最も一般的な姓の一つです。 中世において鍛冶職人は村の中でも重要な職業であり、各地域に広く分布していました。 ゲール語では「MacGabhann」(ガヴァンの息子)またはスミスを意味する「Gow」としても知られています。

ジョン・スミス(イギリスの政治家、労働党党首として知られた)

ウィル・スミス(アメリカの俳優・ラッパー、『メン・イン・ブラック』シリーズなどで有名)

Taylor (テイラー)

「仕立て屋」を意味するこの姓は、中世の職業名から発展しました。 ノルマン・フランス語の「tailleur」に由来し、11世紀のノルマン征服後にスコットランドにもたらされました。 スコットランドではローランド地方(南部低地)に多く、ハイランド地方ではゲール語形の「Mac an Taillear」も見られます。

エリザベス・テイラー(イギリス出身のハリウッド女優、紫の瞳の持ち主として知られる)

ジェームズ・テイラー(アメリカのシンガーソングライター、フォークロック界のレジェンド)

Clark (クラーク)

ラテン語の「clericus」(聖職者、学者)に由来し、中世では読み書きのできる教養人を指していました。 スペルバリエーションとして「Clarke」や「Clerk」なども存在し、特にスコットランド中央部に多い姓です。 ハイランド地方では「MacChlerich」というゲール語形があり、「学者の息子」を意味します。

ジム・クラーク(スコットランド出身のF1ドライバー、伝説的なチャンピオン)

ケリー・クラーク(アメリカの女性政治家、2016年の大統領選ではヒラリー・クリントンの側近として活躍)

父親の名に由来する姓

Robertson (ロバートソン)

「ロバートの息子」を意味し、特にパースシャー地方に拠点を置くクランとして知られています。 クラン・ドナキーとも呼ばれ、14世紀の反乱者アレグザンダー・ロバートソンが創始者とされています。 クラン・バッジには野イチゴが使われており、「苔の生えた岩の上に腕を置いた手」が象徴となっています。

アンガス・ロバートソン(オーストラリアのジャーナリスト、国際的に活躍するTV司会者)

クリフ・ロバートソン(アメリカの俳優・監督、アカデミー賞受賞者)

Wilson (ウィルソン)

「ウィルの息子」を意味し、ウィルはウィリアム(William)の愛称形です。 イングランド北部とスコットランド南部のボーダー地方で発展した姓で、独立したクランではなく様々なクランに属していました。 スコットランドでは「MacWilliam」というゲール語形も存在し、ハイランド地方で使われていました。

オーウェン・ウィルソン(アメリカの俳優、ブロンドの髪と特徴的な鼻が印象的)

ウッディ・ウィルソン(アメリカの俳優、社会派作品に多く出演)

Thomson (トムソン)

「トマスの息子」を意味し、特にスコットランドではこの綴り(Thomson)が一般的です。 イングランドでは主に「Thompson」と綴られ、この違いは方言や地域差から生じました。 ボーダークランの一つとして知られ、「Thomasson」というバリエーションも存在します。

エマ・トムソン(イギリスの女優・脚本家、複数のアカデミー賞を受賞)

キース・トムソン(スコットランド出身のミュージシャン、伝統音楽の現代的解釈で知られる)

他のスコットランド特有の名前と姓

Fraser (フレイザー)

フランス語起源で「イチゴの栽培者」を意味するとされ、12世紀頃にスコットランドに定着した姓です。 スコットランド北東部に拠点を置くクランで、ロヴァットの領主として知られていました。 独自のタータンを持ち、戦いの際の掛け声「Je Suis Prest」(私は準備ができている)で知られています。

サイモン・フレイザー(18世紀のスコットランド貴族、ジャコバイトの反乱に参加しカロデンの戦いで敗北) ヒュー・フレイザー(現代イギリスの歴史家、スコットランド史の専門家)

MacLeod (マクラウド)

ゲール語で「トルモドの息子」を意味し、特にスカイ島とルイス島に拠点を置くハイランドの氏族です。 「暗いマクラウド」と「明るいマクラウド」の二つの主要な分派に分かれ、それぞれ独自のタータンを持っています。 伝説的な「妖精の旗」を所有していたとされ、クランの存続を保証する魔法の品として伝えられています。

コナー・マクラウド(映画『ハイランダー』の主人公、不死の戦士という架空のキャラクター) ロリー・マクラウド(スコットランドのゴルファー、メジャー大会で優勝経験を持つ)

Douglas (ダグラス)

ゲール語で「黒い水」を意味し、スコットランド南部ラナークシャーの地名に由来します。 13-15世紀にはスコットランド最大の勢力を誇り、「黒のダグラス」として畏怖されていました。 ロバート・ザ・ブルースの右腕ジェームズ・ダグラスは「善良なサー・ジェームズ」として知られ、ブルースの心臓を十字軍遠征に携えたとされています。

カーク・ダグラス(アメリカの伝説的俳優、スパルタカス役などで知られるハリウッドスター)

マイケル・ダグラス(アメリカの俳優・プロデューサー、カーク・ダグラスの息子、ウォールストリートのゲッコー氏で思い出す人もいるかも?)

Morag (モラグ)

ゲール語の女性名で、「偉大な」または「壮大な」を意味し、伝統的なスコットランド・ハイランドの名前です。 アイルランド語の「Mór」(偉大な)に由来し、スコットランドとアイルランドの文化的つながりを示しています。 スコットランド文学やフォークロアに頻繁に登場し、特にゲール語圏では今でも人気がある名前です。

モラグ・マクドナルド(スコットランドの詩人、ゲール語文化の復興に貢献)

モラグ・ハンター(スコットランドの民族音楽家、伝統的なハープ奏者として知られる)

Hamish (ハミッシュ)

ジェームズ(James)のスコットランド・ゲール語形で、ヤコブ(Jacob)のヘブライ語に由来します。 「Seumas」というゲール語名の英語化された形で、典型的なスコットランド名として国際的にも知られています。 ハイランド地方では伝統的に人気がある名前で、スコットランド文化を象徴する名前として使われることも多いです。

ハミッシュ・ブレイク(スコットランドのTV司会者、風変わりなキャラクターで人気)

ハミッシュ・ハミルトン(イギリスのコメディアン、スコットランドの伝統を題材にした作品で知られる)

スコットランドの男性名

Andrew (アンドリュー)

ギリシャ語で「男らしい」を意味し、スコットランドの守護聖人である聖アンドリューにちなんだ名前です。 スコットランドの国旗「セント・アンドリュース・クロス」(X字の白十字)は聖アンドリューの処刑された十字架を象徴しています。 スコットランド英語では「Andra」や「Andry」という発音バリエーションも存在します。

アンドリュー・カーネギー(スコットランド出身の実業家・慈善家、アメリカの鉄鋼王として知られる)

アンディ・マレー(スコットランド出身のテニスプレーヤー、ウィンブルドン優勝の国民的英雄)

William (ウィリアム)

ゲルマン語で「意志強き守護者」を意味し、スコットランド独立の英雄ウィリアム・ウォレスの影響で人気があります。 スコットランドでは「Will」「Willie」「Bill」「Billy」などの愛称形が一般的に使われています。 13世紀末から14世紀初頭にイングランドに対する独立戦争を率いたウォレスは、現在も国民的英雄として崇められています。

ウィリアム・ウォレス(13世紀のスコットランド独立戦争の英雄、映画『ブレイブハート』の主人公、メル・ギブソンが演じていた役だ。)

ビリー・コノリー(スコットランド出身のコメディアン・俳優、グラスゴー訛りのユーモアで知られる)

Robert (ロバート)

ゲルマン語で「輝かしい名声」を意味し、スコットランド国王ロバート・ザ・ブルースにちなんで人気を保っています。 スコットランドでは「Rob」「Robbie」「Bob」などの愛称が一般的で、詩人ロバート・バーンズも国民的な存在です。 1306年から1329年まで統治したロバート1世(ブルース)はバノックバーンの戦いでイングランドに勝利し、独立を確保した国王として知られています。

ロバート・バーンズ(スコットランドを代表する国民的詩人、「蛍の光」の原曲の作詞者) ロビー・ウィリアムズ(イギリスの歌手、ボーイバンド「テイク・ザット」の元メンバー)

David (デイヴィッド)

ヘブライ語で「愛される者」を意味し、スコットランドでは中世以降一貫して人気のある名前です。 スコットランド王デイヴィッド1世(在位1124-1153年)は国内の教会を強化し、中世都市の発展を促進した重要な国王でした。 スコットランドでは「Dave」「Davie」「Davy」などの愛称形が使われ、特に「Davie」はスコットランド独特の愛称です。

デイヴィッド・テナント(スコットランド出身の俳優、『ドクター・フー』などで知られる)

デイヴィッド・ヒューム(18世紀のスコットランド哲学者、カントも影響を受けたスコットランド啓蒙思想を代表する知識人だ)

John (ジョン)

ヘブライ語で「神は恵み深い」を意味し、スコットランドでは「Ian」(イアン)というゲール語形も広く使われています。 キリスト教の影響で中世以降広まり、スコットランドでは「Jock」という特有の愛称も生まれました。 「Jock」は後にスコットランド人の俗称となり、英国では「Jock」がスコットランド人を指す言葉としても使われています。

ジョン・ロギー・ベアード(スコットランド出身の発明家、テレビの発明者として知られる)

イアン・ランキン(スコットランドの推理作家、刑事レバスシリーズで国際的に有名)

スコットランドの女性名

Margaret (マーガレット)

ギリシャ語で「真珠」を意味し、11世紀のスコットランド女王マーガレット(後の聖マーガレット)の影響で広まりました。 スコットランドでは「Maggie」「Meg」「Maisie」などの愛称が使われ、特に「Maisie」はスコットランド独特です。 聖マーガレットはイングランドからスコットランドに嫁ぎ、キリスト教の発展や教育の普及に貢献した女王として崇められています。

マーガレット・サッチャー(政府機関の民営化を進めイギリス経済を復調させた戦後を代表するイギリスの名首相の一人。あだ名の「鉄の女」としても広く知られる)

マギー・スミス(イギリスの女優、『ハリー・ポッター』シリーズのマクゴナガル先生役でも有名)

Jean (ジーン)

ジョン(John)の女性形で、「神は恵み深い」という意味を持ちます。 イングランドの「Jane」に相当するスコットランド特有の形であり、18-19世紀に特に人気がありました。 フランス語の「Jeanne」の影響も受けており、スコットランドとフランスの歴史的な「古い同盟」を反映しています。

ジーン・シンプソン(スコットランド出身のジャーナリスト、BBCのベテラン司会者)

Agnes (アグネス)

ギリシャ語で「純粋な」「聖なる」を意味し、4世紀の聖アグネスの影響でキリスト教国に広まりました。 スコットランドでは中世から19世紀まで非常に人気があり、「Nessie」という愛称が使われることもありました。 スコットランドの民間伝承では魔女や予言者としてアグネスという名前がしばしば登場します。

アグネス・マクファイル(カナダの政治家、スコットランド系移民の子孫で初の女性国会議員)

アグネス・モーヘッド(アメリカの女優、スコットランド系の血を引く『奥様は魔女』の役で有名)

Mary (メアリー)

ヘブライ語で元々は「苦い」または「反抗的」を意味し、聖母マリアへの崇敬から広まった名前です。 スコットランドでは特にメアリー・スチュアート女王(1542-1587)の影響も大きく、歴史的に重要な名前となっています。 カトリック教徒にとって特に意味のある名前で、宗教改革後もスコットランドで人気を維持しました。

メアリー・クイーン・オブ・スコッツ(スコットランド女王、劇的な生涯と悲劇的な最期で知られる) メアリー・ビアード(イギリスの古典学者、テレビでも活躍する著名な学術者)

Elizabeth (エリザベス)

ヘブライ語で「神は私の誓い」を意味し、聖書に登場するヨハネの母エリザベスに由来します。 スコットランドでは「Elspeth」「Elsie」「Bessie」「Lisbeth」などのスコットランド特有の愛称形があります。 16世紀のエリザベス1世女王とメアリー・スチュアートの確執は、スコットランド史における重要なエピソードの一つです。

エリザベス・テイラー(イギリス出身の昔の超有名ハリウッド女優、8回の結婚と宝石への愛などでも知られる)

エリザベス・ブラックウェル(イギリス生まれのアメリカ初の女性医師、スコットランド系の家系)

Ann (アン)

ヘブライ語で「恵み」を意味し、「Hannah」のラテン語経由の短縮形です。 スコットランドでは「Nancy」「Annie」などの愛称が一般的で、特に「Nancy」はスコットランド独特の愛称形です。 シンプルさと聖書的ルーツから18-19世紀のスコットランドで特に人気がありました。

アン・スコット(スコットランドの小説家、伝統的なスコットランド風景を舞台にした作品で知られる) ナンシー・リー(スコットランド系アメリカ人の実業家、プロデューサーとしても活躍)