ケッペンの気候分類の文字の意味
ケッペンの気候分類システムは、19世紀末頃にロシア系ドイツ人の気候学者ウラジミール・ケッペンによって開発されました。とても分かりやすいシステムなのだが地理の授業などでいきなり立て続けに説明されるとアルファベットの略の意味で困惑しないだろうか?
ということで今回は少し話がそれる感じもするがこの意味や由来について解説したい。
5つの大分類 ABCDE
まずは殆どがただの順番である大分類の大文字のアルファベットから。(ケッペンの分類をある程度知っている方は下の方に飛ばして読んでもらった方が効率的かもしれない。)
大分類はABCDEと基本的には順に気温が下がっていくイメージだ。
A
ケッペン・システムの A は熱帯気候を表している。A という文字が選ばれたのは、アルファベットの最初の文字であることと、熱帯気候がケッペンのシステムで最初に記述された気候のタイプであることに由来しているようだ。
熱帯気候は年間を通して気温が高く、最も寒い月の平均気温が18℃を下回らないのが特徴である。
B
ケッペン・システムの B は乾燥気候に使われる。アルファベットの「A」の次に「B」が選ばれたのは、ケッペンが記述した気候のタイプの中で、乾燥気候が次のタイプだったからと考えられる。
乾燥気候の特徴は、降水量が極端に少ないことである。このカテゴリーはさらにステップ気候(半乾燥気候)を表す BS と、砂漠気候(乾燥気候)を表す BW に分けられる。(SとWについては下側に説明)
C
C はケッペン・システムにおける温帯気候を表す。これもアルファベットの連続使用を引き継いでいるのだろう。
温帯気候は、最も暖かい月の平均気温が10℃(50°F)以上、最も寒い月の平均気温が-3℃(27°F)~18℃(64°F)という中程度の気温を特徴とする。
D
D はケッペンのシステムにおける大陸性気候を表している。
これらの気候は、夏と冬の気温差が大きいのが特徴だ。5つの中で一番わかりずらいかもしれない。一般的にその名の通り大きな大陸の内陸部に見られる。最も暖かい月の平均気温は10℃以上、最も寒い月の平均気温は-3℃以下で、少なくとも1ヶ月の平均気温は10℃以上である。
E
E は極地や高山気候に使われる。
これらの気候の特徴は、年間を通じて気温が非常に低いことである。最も暖かい月の平均気温は10℃以下である。ETはツンドラ気候、EFは氷雪気候だ。
二番目の文字
さてたまによく分からないと評され、説明されることが少ないのはこのあとの文字である。これらの由来を説明したい。
2番目の大文字
Bのあと
S Steppen ステップ
W Wuste 砂漠
Eのあとの
T Tundra ツンドラ
F Frost 氷雪
以上、これらは全てドイツ語より。
2番目の小文字
二番目の小文字は季節による降水パターンを表す。
w は冬の乾燥した季節を表す。このシステムの開発者であるウラジミール・ケッペンがドイツ人であったことから、ドイツ語の冬、ヴィンターの頭文字に由来している。とってもつづりは英語と同じwinterのwだ。
例えばAwは熱帯サヴァナ気候だが暑くて、冬にも乾燥している、ということだ。単純に考えると熱帯の冬になるので最高に紛らわしい。
s は乾燥した夏の季節を表す。これはドイツ語で夏を意味する sommer に由来する。ゾマーと発音するが、これも英語のsummerと似ているので、wとsは覚えやすいかもしれない。
例えばCsは地中海性気候だが夏に乾燥しているということだ。日本などは夏は暑い上に猛烈に湿度があってクーラーをつけないと息苦しいほどの日もあるが、イタリアの夏はただ暑いだけでそうしたサウナのような心配はない。
f は年間を通じて降水量が十分であることを表す。ドイツ語の feucht に由来し、これは、湿ったという意味である。
m はモンスーンの略だ。日本では一体誰が広めているのか謎なのだがmittel(中間)のmという説が広まっている。しかしmはそのままわかりやすくモンスーンのmである。インターネット上や教育現場でも多く見られるが間違いである。注意されたし。
乾季は短いが全体としては十分な降雨量があり、熱帯雨林に分類される熱帯気候に使われる。モンスーンについて更に掘り下げるとアラビア語の、mausimに由来し、大雨をもたらす季節的な風の変化を指している。
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