野球は日本でも人気、アメリカでは国技とも言われるほどの人気のスポーツですが、その用語はこれら日本語と英語で大きく異なります。
英語での野球用語を理解することでMLBの試合をより深く楽しんだり、SNSで海外の野球ファンとのコミュニケーションがスムーズになったりするでしょう。
今回は投球、球種、守備などの場面で使われる英語表現を紹介します。
ピッチングの英語 ビーンボールのビーンとは?
Strike Zone ストライクゾーン
ホームプレート上で打者がスイングすべき範囲を指します。MLBでは打者の肩とベルトの中間点から膝頭までの垂直範囲と定義されています。この範囲は野球の歴史の中で何度か変更されてきました。
Perfect Game パーフェクトゲーム
1試合を通して相手選手が一度も塁に出ないピッチング。無安打、無四球、無エラーの全てを達成した完全試合です。MLB史上でもわずか23回しか達成されていない稀少な記録といえるでしょう。
No-Hitter ノーヒッター
投手が9イニング以上を投げて相手に一本もヒットを許さない試合のこと。四球やエラーで出塁を許しても記録は成立します。0-1で負けてもノーヒッターの記録は残ります。完全試合ほどではありませんが、稀な偉業です。
Wild Pitch 暴投
キャッチャーが通常の努力では捕球できないような高さ、低さ、幅のある投球のことです。打者に当たらず走者が進塁できるような投球が該当します。統計として記録され、投手の制球力の指標となることもあるでしょう。
Balk ボーク
投手が走者を欺くために行う不正な動作のこと。「ためらう、失策する」という古い英単語に由来します。意図せず起きることも多く、試合中に突然審判が指摘して観客が「今ボークだったの?」と困惑することもしばしばです。
Beanball ビーンボール
打者の頭部を狙って意図的に投げる危険な球。
「bean」は俗語で頭を意味します。故意に危険なプレーとなるため、厳しく禁止されており、投手は退場処分となる可能性があります。
Full Count フルカウント
カウントが3ボール2ストライクの状況を指します。次の1球で勝負がつく緊張感があります。イチローや赤星のような粘り強い打者はここから10球以上もファールを続けることもあり、投手との熱い駆け引きが生まれます。
球種の英語での言い方
Fastball ファストボール
ストレートのことです。ただ厳密には微妙に異なります。
ファストボールとは最も基本的な球種で、最大の球速で投げる球です。シーム、つまり縫い目によって、フォーシーム、ツーシーム、カットファストボール、ときにはシンカーなども含めたバリエーションがあり、使われ方の定義は日本のストレートほど、きっちりという感じではありません。
ノーラン・ライアンは時速100マイル以上の威力のある速球で有名でした。
Curveball カーブボール
下方向、時には横方向に大きく変化する球種です。速球より遅く、投手のグリップと手首の動きで変化をつけます。クレイトン・カーショウは現代野球で最も効果的なカーブの使い手とされています。
Slider スライダー
速球とカーブの中間的な球種で、カーブよりもタイトな回転と横と下への変化が特徴です。ランディ・ジョンソンのスライダーは左打者にとって悪夢のような球でした。
Changeup チェンジアップ
速球と同じ腕の動きで投げるが、握り方を変えることでスピードを落とし、バッターのタイミングを外します。ペドロ・マルティネスは惑わすようなチェンジアップで多くの打者を翻弄しました。
Splitter スプリッター
スプリット・フィンガー・ファストボールの略で、速球のように見えて手前で急激に落ちる球種です。ロジャー・クレメンスや野茂英雄が効果的に使いました。打者は速球と見誤りやすく、空振りを誘発します。
Knuckleball ナックルボール
ほとんど回転をかけずに投げるため、不規則で予測不可能な軌道を描く球種です。ティム・ウェイクフィールドやR.A.ディッキーはこの難しい球種をマスターした数少ない投手でした。捕手にとっても非常に捕球が難しい球種です。
Cutter カッター
速球の一種でリリース時の握り方を少し変えることで横への小さな変化を加えます。マリアーノ・リベラはこの球種を極め、MLB史上最も恐れられた救援投手となりました。しばしばバットが折れるほどの効果があります。
Two-seam Fastball ツーシームファストボール
ボールの縫い目に沿って握り、フォーシーム速球より動きが大きく、下方向への沈む動きがあります。デレク・ロウはこの球種を巧みに使いました。ゴロを誘うことが多く、効率的な投球ができます。
Screwball スクリューボール
カーブやスライダーとは逆方向に変化する珍しい球種です。投げるときに腕に大きな負担がかかるため、現代ではほとんど見られません。フェルナンド・バレンズエラは1980年代にスクリューボールで一世を風靡しました。
投手の役割別の言い方
Starting Pitcher 先発投手
試合の最初から登板し通常5〜7イニングを投げることが期待される投手です。多くのチームでは4〜5人の先発投手がローテーションを組んで交代で試合に臨みます。チームの勝敗を左右する重要なポジションです。
Relief Pitcher リリーフピッチャー
先発投手が降板した後に登場する投手の総称です。「救援する」という意味からこの名称がついています。
こちらは史上最高のリリーフピッチャーと言われるマリアーノ・リベラのピッチング。相手のバットを三回も粉砕している。。
Setup Man セットアップマン
通常7回か8回に登板し、クローザーのために準備をする役割を担う投手です。チームのリードを維持し、クローザーにセーブの機会を引き継ぐことが仕事です。試合の流れを決める重要な役割を担っています。
Closer クローザー
試合終盤、通常は9回にリードを守るために登板する専門の救援投手です。プレッシャーの高い場面での投球を得意とし、相手チームの反撃を阻止する重要な役割を担います。マリアーノ・リベラやトレバー・ホフマンが有名です。
Long Reliever ロングリリーバー
先発投手が早い回に降板した場合など複数イニングを投げることを求められる救援投手です。スウィングマンと呼ばれる先発と救援の両方をこなせる投手も含まれます。チームの投手陣に柔軟性を与える大切な存在です。
LOOGY/ROOGY 左右スペシャリスト
「Left-handed One Out Guy」や「Right-handed One Out Guy」の略称で、特定の打者1人または短い打者との対戦のために起用される救援投手です。同じ左右の打者に強いという特性を活かした起用法です。
守備の英語表現
Fielder’s Choice 野手選択
野手が打者ではなく進塁した走者をアウトにすることを選んだプレーを指します。日本では野手がエラーしたように言われることもありますが、本来はどちらでもないのです。戦略的な判断に基づくプレーといえるでしょう。
Caught Stealing 盗塁死
走者が盗塁を試みたが、守備側にアウトにされたことを示す用語です。単に「捕まった」という直接的な表現から来ています。捕手の送球能力や野手のタグの速さが試される場面です。
Sliding Catch スライディングキャッチ
野手が地面に沿ってスライディングしてボールを捕球する守備プレーです。通常の状態では到達できないボールに対して行われる技術でハイレベルな守備力を示すプレーとされています。
Double Play ダブルプレー
同じ連続動作の中で2人の攻撃側選手をアウトにする守備側のプレーです。最も一般的なのは「6-4-3」のゴロからのダブルプレーで遊撃手から二塁手、一塁手への流れで2つのアウトを取ります。
Inning Stretch イニングストレッチ
7回表と裏の間に設けられる伝統的な休憩時間です。観客が立ち上がって体を伸ばすことが習慣になっています。アメリカでは「Take Me Out to the Ball Game」を歌う伝統もあります。
Run Batted In (RBI) 打点
打者の打撃によって得点が入ったことを示す統計です。打者の得点への貢献を評価する重要な指標となります。優れた打者は長いシーズンを通じて100打点以上を記録することもあるでしょう。
Shutout Game 完封試合
相手チームに1点も与えずに試合を終えることを指します。
さらにComplete Game Shutout(完投完封)は投手にとってより大きな栄誉となります。チーム全体の守備力と投手の実力を示す指標となります。
以上となりますが、他にも例えば日本では敬遠と呼ばれるプレーは英語では「Intentional Walk」と表現したり、セーフティバントは英語では「Drag Bunt」と呼ばれることが多いです。
守備ポジションの「ショート」は英語では「Shortstop」とフルネームで呼ばれたり、細かい違いはまだまだ尽きません。