【フレーズ一覧】英語で経済用語【まとめて覚える】

外での経済談義 学術英語

グローバル化が進む現代社会では経済用語の理解が不可欠。ビジネスニュースや金融情報を正確に把握するためには基本的な経済概念の知識が必要です。

ということで今回はニューヨーク・タイムズやブルームバーグのような海外の新聞や経済記事を読むと日常的に目にするような経済用語の英語フレーズについて。

経済成長と生産に関する重要用語

Economic Growth 経済成長

一定期間における財やサービスの生産増加を指し、実質GDPの成長率で測定されます。持続可能な成長(Sustainable Growth)と対照的に短期的な成長を過度に追求すると長期的な経済問題を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

Gross Domestic Product 国内総生産

一国内で一定期間に生産された全ての最終財・サービスの市場価値を表します。名目GDP(Nominal GDP)は現在の市場価格で計算されるのに対し実質GDP(Real GDP)はインフレの影響を排除した指標です。日本では四半期ごとに内閣府から発表されています。

Consumer Price Index 消費者物価指数

家計が購入する代表的な商品・サービスの価格変動を測定する指標です。バスケット方式(Market Basket Approach)で計算され、インフレ率算出の基礎となります。日米では計算方法に違いがあり、日本の方が住居費の比重が低く設定されています。

Supply and Demand 需要と供給

市場価格決定の基本メカニズムを説明する経済モデル。均衡価格(Equilibrium Price)は需要曲線と供給曲線の交点で決まります。需要の価格弾力性(Price Elasticity of Demand)は価格変化に対する需要量の反応度を示す重要な概念です。

金融政策と財政に関する用語

Monetary Policy 金融政策

中央銀行が経済活動や物価に影響を与えるために行う政策です。緩和政策(Expansionary Policy)は景気刺激のために金利を引き下げ引き締め政策(Contractionary Policy)はインフレ抑制のために金利を引き上げます。非伝統的金融政策では量的緩和(Quantitative Easing)などの手法も用いられます。

Fiscal Policy 財政政策

政府の歳入・歳出を通じて経済に影響を与える政策です。景気対策には増税や歳出削減による引き締め政策と、減税や歳出拡大による拡張政策があります。自動安定化装置(Automatic Stabilizers)は景気循環を自動的に緩和する仕組みとして機能します。

Interest Rate 金利

資金の貸借に対して支払われる対価の割合です。名目金利(Nominal Rate)からインフレ率を差し引いたものが実質金利(Real Rate)となります。イールドカーブ(Yield Curve)は満期の異なる債券の金利関係を示し、その形状は将来の経済状況を予測する指標とされています。

Budget Deficit 財政赤字

政府の支出が収入を上回る状態を指します。構造的赤字(Structural Deficit)は景気循環に関係なく恒常的に発生する赤字で循環的赤字(Cyclical Deficit)は景気後退期に生じる一時的な赤字です。深刻な財政赤字は債券市場での政府の信用低下を招く恐れがあります。

Public Debt 公的債務

政府が債権者に対して負っている債務総額です。対GDP比で表されることが多く、この比率が高すぎると財政の持続可能性に疑問が生じます。外国保有債務(Foreign-held Debt)の割合が高いと為替リスクや対外的な政策制約が生じる可能性があります。

国際経済と貿易の専門用語

Exchange Rate 為替レート

ある国の通貨を別の国の通貨と交換する際のレートです。変動相場制(Floating Exchange Rate)では市場の需給で決まり、固定相場制(Fixed Exchange Rate)では政府が特定のレートを維持します。実効為替レート(Effective Exchange Rate)は貿易相手国全体に対する自国通貨の総合的な強さを示します。

Trade Balance 貿易収支

一定期間における国の輸出額と輸入額の差額です。貿易黒字(Trade Surplus)は輸出が輸入を上回る状態、貿易赤字(Trade Deficit)はその逆を意味します。貿易収支は経常収支(Current Account)の主要構成要素ですがサービス収支やその他の要素も考慮する必要があります。

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Trade Agreement 貿易協定

国家間で締結される貿易条件や関税に関する合意です。自由貿易協定(Free Trade Agreement)は関税撤廃を目指すのに対し、特恵貿易協定(Preferential Trade Agreement)は部分的な関税軽減に留まります。WTO(世界貿易機関)の最恵国待遇原則との整合性が重要な課題となっています。

Import Quota 輸入割当

特定期間に輸入できる商品の数量制限です。関税(Tariff)が価格に影響するのに対し、輸入割当は直接数量を制限します。割当を受けた業者はレント(経済的利益)を得られるため、割当の配分方法が政治問題化することもあります。

Foreign Investment 外国投資

他国での資産取得や事業展開を意味します。直接投資(Foreign Direct Investment)は経営への関与を伴い、間接投資(Foreign Portfolio Investment)は株式や債券の購入に留まります。投資受入国では技術移転や雇用創出のメリットがある一方、利益の本国送金などの問題も指摘されています。

市場と経済指標に関する用語

Market Economy 市場経済

個人や企業の自由な経済活動と価格メカニズムによって資源配分が決まる経済システムです。混合経済(Mixed Economy)では市場原理と政府介入の両方が機能し計画経済(Command Economy)は中央政府による計画が主体となります。

Capital Market 資本市場

長期資金の調達・運用が行われる金融市場です。株式市場(Equity Market)と債券市場(Bond Market)が主要な構成要素で、プライマリーマーケット(発行市場)とセカンダリーマーケット(流通市場)に分けられます。資本市場の深さ(Depth)と流動性(Liquidity)は経済の発展度を示す指標となります。

Stock Exchange 証券取引所

有価証券の売買が組織的に行われる場所です。伝統的な取引所(Traditional Exchange)に対し、電子取引システム(Electronic Trading System)の重要性が増しています。高頻度取引(High-Frequency Trading)の台頭により市場の流動性や価格形成メカニズムが変化しています。

Consumer Confidence 消費者信頼感

消費者の経済見通しに対する楽観度を示す指標です。先行指標(Leading Indicator)として将来の消費動向を予測するのに役立ちます。日本では消費者態度指数(Consumer Attitude Index)として内閣府が毎月発表しており景気判断の重要な材料となっています。

Economic Indicator 経済指標

経済状況を数値化した統計データです。先行指標(Leading Indicators)は将来の経済動向を、一致指標(Coincident Indicators)は現在の状況を遅行指標(Lagging Indicators)は過去の傾向を反映します。複合的な指標として景気動向指数(Business Cycle Index)が用いられることも多いです。

経済課題と金融リスクに関する専門用語

Inflation Rate インフレ率

一般物価水準の上昇率を示す指標です。需要牽引型インフレ(Demand-Pull Inflation)と費用押し上げ型インフレ(Cost-Push Inflation)の二種類があります。適度なインフレは経済成長に必要とされていますが、ハイパーインフレーション(Hyperinflation)は経済に深刻な打撃を与えます。

Unemployment Rate 失業率

労働力人口に占める失業者の割合。

摩擦的失業(Frictional Unemployment)、構造的失業(Structural Unemployment)、循環的失業(Cyclical Unemployment)の3種類に分類されます。

自然失業率(Natural Rate of Unemployment)はインフレを加速させずに達成可能な最低失業率とされています。

Financial Crisis 金融危機

金融資産価値の急激な下落や金融システムの機能不全を指します。バブル崩壊(Bubble Burst)、銀行危機(Banking Crisis)、通貨危機(Currency Crisis)などが含まれます。システミックリスク(Systemic Risk)は全体の金融システムに波及する危険性を指し、金融規制の重要な焦点となっています。

Credit Rating 信用格付け

債務者の返済能力を評価したものです。投資適格(Investment Grade)とジャンク(Junk/High Yield)に大別されAAA(最高級)からD(債務不履行)までの段階があります。格付け機関の判断が市場に大きな影響を与えるため、その中立性や評価手法の透明性が重要視されています。

Tax Evasion 脱税

違法な手段による租税回避行為です。合法的な節税(Tax Avoidance)とは区別されます。タックスヘイブン(Tax Haven)を利用した国際的な脱税対策として、共通報告基準(Common Reporting Standard)などの国際協力の枠組みが構築されています。

金融機関と政策実行主体に関する用語

Central Bank 中央銀行

国の通貨発行と金融政策を担う機関です。政府からの独立性(Independence)が重視され物価安定(Price Stability)と金融システムの安定(Financial Stability)が主な使命とされています。非伝統的金融政策の拡大に伴いその役割と権限の範囲が議論の対象となっています。

Q&A: 経済用語についてよくある質問

Q: インフレとデフレはどちらが経済に悪影響を与えますか?

A: どちらも極端な状態は経済に害を及ぼします。

高インフレは貯蓄価値を減少させ経済計画を困難にしデフレは消費や投資を先送りさせて経済活動を停滞させます。現代の中央銀行は通常、年間2%程度の緩やかなインフレを目標とし、安定的な経済成長との両立を図っています。

Q: GDPと国民の生活水準は同じものを測定していますか?

A: GDPは経済活動の規模を示す指標ですが所得分配の不平等や無償労働(家事など)、環境コストなどは反映していません。より広範な幸福度を測る指標として国連の人間開発指数(HDI)やブータンの国民総幸福量(GNH)など、GDPを補完する指標も開発されています。

Q: 金融政策と財政政策はどのように連携すべきですか?

A: 理想的には両政策が補完的に機能することが望ましいです。例えば景気後退期には中央銀行による金利引き下げ(金融緩和)と政府による財政支出拡大(財政拡張)の組み合わせが効果的です。しかし、中央銀行の独立性や財政規律との兼ね合いなど実際の政策調整は複雑な問題を含んでいます。

重要な経済学の学派と理論

Keynesian Economics ケインズ経済学

イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズが提唱した経済理論です。総需要の重要性を強調し、景気後退時には政府支出による景気刺激策を支持します。新古典派総合(Neoclassical Synthesis)として主流派経済学に取り入れられた一方、ポスト・ケインジアン(Post-Keynesian)などの派生学派も存在します。

Monetarism マネタリズム

ミルトン・フリードマンらが発展させた経済理論で貨幣供給量の管理を重視します。インフレは「常に貨幣的現象である」という考え方が特徴的で中央銀行による量的金融目標の設定を提唱しました。1970年代から80年代にかけて政策に大きな影響を与えましたがその後は純粋なマネタリズム政策は姿を消しています。

Supply-Side Economics サプライサイド経済学

1980年代にレーガン政権下で注目された経済理論です。減税や規制緩和によって生産と投資を刺激することを重視します。ラッファーカーブ(Laffer Curve)の概念に基づき過度な課税は税収を減少させると主張しました。トリクルダウン理論(Trickle-down Theory)とも関連していますがその効果については論争が続いています。